「最近、この子を殺してやりたいと思う母親が
多いのです。
元保母の私は二歳の長男をぶつなら、お尻より
下と決めていた。そのうち自制が効かなくなり、
頬や頭をぶつようになった。隣の部屋に逃げる
彼を追いかけて叩き、蹴ったこともある。
どこまで叩いたら済むのか。出口が見えなく
なっていた。私自身、子供を少しずつ嫌いに
なり始めていたのが怖かった。
今から考えると神話のような話ですが、昔の親、
昭和二十年代までの母親は、人間以外の動物と
同様に育児本能が充実していました。
戦後の核家族、夫婦分業の中で育った世代の親に
問題が出ています。いい大学、いい企業に入る
ことを最終目標にした専業主婦の母親に、
すべて身の周りの世話をされ、王子様、王女様
のように育てられた人たちが、子供が生まれた
からといって、すぐに下男、下女のように子供
を世話することはできないのです。
千人のお母さんの調査で、赤ちゃんと別室で
休むのはゼロ、殆ど添い寝をしていることが
わかりました。母親の注目を一身に集めたゼロ
歳児は、自分こそが王様だと信じ込んで育つ。
この子が一歳になる頃から母親の悲劇が始まり
ます。
引用:櫻井よしこ 日本の危機 新潮文庫」
このように手をかけ過ぎた子は、親のコントロール
が効かない子になり、憎しみの対象となるのだ
そうです。
核家族のため、手のかけ足りない子は、沈黙する
赤ちゃん、いわゆるサイレントベビーになる
危険があるそうです。
サイレントベビーは、知識は詰めこめても、
感受性は未発達のままで、情緒的に問題を
抱えた子に育つそうです。
アフリカの草原で暮らす、チータは肉食獣として
は身体は決して大きくありません。
したがって、生きていくためには、時速110kの
走力は不可欠です。
そのため、チータの母親は小さな子供を連れて、
1日に20kも歩かせるそうです。
この歩行訓練が、やがて、地上最速で走ることを
可能にする筋力を作るのだそうです。
私たち人間も、自分の過去と未来をつなぐ懸け橋
として、自分を超えてほしいという本能から湧き
出る願いをこめて、子供を育てなければなりません。
ほんの二三十年前までは、親が真剣に家督の相続を
考え、長男が従容として因習に従いました。
長男がふさわしくなければ、次の候補を考えました。
家督相続を優先させる考え方があったことで、少子化
が問題になりませんでした。
国家が少子化対策として、望ましい環境を提供
できたとしても、子供を産み育てる年代の人たちが
進んで、生き物の一員として、その務めに喜びと
意義を感ずるようでなければ、対策は意味を
持ちません。
櫻井よしこ『日本の危機』-本の足跡-楽天ブログ(Blog)
(http://plaza.rakuten.co.jp/sayumi1194/diary/200706120000/)




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