ミスター・ビーンで知られる
ローワン・アトキンソン(Rowan Atkinson)が
演じるヴィジュアルコメディは彼の表情や
動作で笑いを誘うスタイルで、
ほとんど言葉はありません。
チャップリン(Charles Chaplin)は
表情よりも動作で演技したように思いますが、
アトキンソンは動作もさることながら、
表情による演技もかなりのウエイトを
占めるように思います。
アトキンソンは顔で、チャップリンは後姿でも
演技します。
「ミスター・ビーン」に収められた
各ストーリーの説明の前段は、困った状況に
陥ったとき、他人がしてくれることなど
何もないという書き出しで始まります。
数学の試験会場でカンニングする設定の
「カンニングはダメよ」という話では、
隣に座った人からの「復習はしてきたか」と
いう質問で始まり、「微積分」という相手に
対して、アトキンソンは「三角法」と
答えますが、その後の会話はありません。
アトキンソンも微積分を選択することに
しましたが、相手がすらすらと白い
解答用紙に答えを書き始め、書き終わった
のを裏返しにすると、アトキンソンは
すきを見て、それを書き写しますが、
相手はその元を丸めて捨てます。
終了2分前に試験官から「微積分は緑色
の解答用紙を、三角法は白い色の解答
用紙を提出するように」と
注意がありました。
もう緑色の解答用紙に書きなおす時間は
ありません。
その間、相手にそろそろと近づいて
肘がつくほど接近したり、筆記用具を
落とし、それを拾う振りをして、
相手の向こう側まで移動したり、
覗き込むためのあらゆる努力を
してみせます。
病院で診察の順番をごまかす話は、
おもしろいのですが、登場人物が
多くなり、そのためにドタバタが
増えて彼の持ち味が減ってしまう
ように思うのです。
アトキンソンが世に知られたとき、
チャップリンの再来と評されたようです。
しかし、アトキンソンはコメディに
徹しています。
チャップリンの演技からはペイソスが
滲み出ています。
演技や笑いの質が違うのだと思います。
チャーリー・チャップリンの傑作の
ひとつといわれるライムライトは
同じ安宿に住むプリマドンナ志望の娘が
自殺を図ったところを助け出します。
そのときの励ましの言葉は
「人生に必要なのは勇気と生きていこう
とする意志とほんのちょっとのお金」
でした。
哲学的な言葉であって、この映画を
観たものの人生訓になりそうな言葉
ではないでしょうか。
アトキンソンもサイレント(無声映画)
時代のチャップリンも言葉を使わない演技で
心情を表現する方法は、言葉に頼る表現よりも
観るものにわかりやすく、視覚を通して訴える
ことで印象にも残りやすいのでは
ないでしょうか。
トーキーの時代になってからも、
チャップリンの演技には言葉によらない
表現が随所に使われていたように
思うのです。
今週の注目人物:ローワン・アトキンソン
(http://blog.television.co.jp/cinema/people/2007/12/post_53.html)
チャーリー・チャップリン(今週のスター)
(http://cinema-magazine.com/new_starlog/charlie.htm)




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