2018年11月07日

ホワイトカラーとしてAIと競うには読解力を磨くべし

'18年11月7日(水)
[読解力] ブログ村キーワード

人工知能(AI)の可能性を追求し、
学校教育の現状に警鐘を鳴らした
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
(東洋経済新報社)が、大きな
反響を呼んでいる。
著者で数学者の新井紀子・国立
情報学研究所教授は
「実証的にAIの実態を示せた」
と話し、若者にとって
「読解力」の向上こそが、
AIに駆逐されず人生を切り開ける
カギだと力説する。
(文化部 小林佑基)

本書は、新井氏らが行った
AI(名称・東ロボくん)による
東大入試挑戦プロジェクトの経緯や、
子どもたちの読解力の危機などに
ついて詳述した。
(略)
新井氏は、2010年刊行の
『コンピュータが仕事を奪う』で、
AI が得意なディープラーニング
(深層学習)などの進化に伴って、
近い将来、働く人の半数がAIに
仕事を奪われると予測した。
だが、人々は真に受けず、
東ロボくんのプロジェクトを行う
きっかけになった。

そこで今回の著作では、
予測の現実性を改めて説明する
一方、コンピューターに
できるのは基本的に四則演算
のみで、
数式に翻訳できないことは
処理できないと指摘した。
人間の知的活動すべてが数式に
置き換えられるわけではなく、
AIが「人類を滅ぼす」ことなど
あり得ないと強調した。
AIには文章の意味や意図が
読み解けず、読解力こそ
人間がAIに負けない分野
なのだと説いている。

このため、模試の偏差値が57まで
上がった東ロボくんの成長は
そろそろ頭打ちだとし、東大合格も
不可能だろうと結論づけた。
現在の技術の延長では、
英語の例文をいくら暗記させても、
問題文の意味を理解したり、
常識から類推したりすることが
できないからだ。

それでも、有名難関私大を含む
7割の大学で合格可能性が
80%以上となったことは、
ホワイトカラーを目指す若者の
平均値を、東ロボくんが
大きく上回ったことを意味する。
新井氏は人々の読解力に懸念を
抱き、基礎的読解力を調べる
「リーディングスキルテスト」を
開発して数万人を調査すると、
恐れは的中。
「多くの中高生は、
 AIによく似た、しかしAIに
 劣る能力しか身につけて
 いなかった。
 そして、読解力によって
 入学する高校がほぼ決まるなど、
 人生が左右されることも
 分かった」

読解力が衰えた原因は何なのか。
新井氏は、公教育の現状を問題視
する。
例えば、二つの文の意味の相違を
判断する「同義文判定」の能力が
非常に低い。
この原因は、小学生に
「答え合わせ」をきちんと
教育していないからだと見る。
「『みんな違ってみんないい』
 などの建前のもと、間違いを
 指摘して正解できるまで指導
 するといった基本の教育が、
 失われている」と話す。

新井氏は、教育現場の方で
実態を掘り起こせなかったことに
苦言を呈す。当然、
「アクティブ・ラーニング」
(能動的学習)など、近年の
教育改革にも否定的だ。
「教科書も満足に読めないのに、
 どうやって自ら調べる学習が
 できるのか。
 これまでの改革は、
 『もの作り大国』の根幹を
 台無しにしてしまっただけ
 ではないか」

新井氏が予測する将来社会では、
AIの苦手分野を担える人材枠は
限られるため、多くが低賃金の
仕事を余儀なくされる恐れがある。
そんな「AI恐慌」を防ぐためにこそ、
読解力が必要だと力をこめる。
例えばベンチャー(企業)でも、
創造性のある社長を支えるには、
読解力のある5〜10人が必要だと
説く。

読解力を育む指導法として、
新井氏は、オセロの盤上の様子を
小学生に状況説明させる有効策
などを考案し、実践活動している。
「AIに負けない能力を教育で
 身に付けられると分かれば、
 子どもの将来への悲観も減り、
 少子化も改善できる。
 あとはいかに実行に移すかだ」
と訴えている。
(数学者・新井紀子氏の著書に反響
 讀賣新聞11/6 29(文化)面)

posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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