2018年03月08日

英会話による意思疎通が英語の全てではないが・・・

'18年3月8日(木)
[英語] ブログ村キーワード

元フェンシング選手・
太田雄貴さん(32)

今も鮮やかな記憶として
蘇るのは、2020年東京
五輪・パラリンピックの
招致プレゼンテーション。
「Imagine
(想像してください)」で
始まる約2分30秒の
流暢な英語での力強い
スピーチは、東京開催を
夢から現実に引き寄せた。
GJ(グッジョブ)!
ところが、立役者の
太田雄貴さんは、こう
打ち明ける。
「じつは僕、英語が
 得意なほうじゃない。
 今でもです。
 あのスピーチは丸暗記
 なんです」

本番直前に仕上がった
原稿を自分の言葉に換え、
「思いを乗っけて
 届けられるように」と、
プロンプターなしで臨んだ。

選手時代は
フェンシングが
今ほどメジャーではなく、
自分で直接外国人の
選手・スタッフとやり取り
せざるを得なかった。
だから今、話したいことは
話せる。話せるけれど、
「正しい文法でしゃべって
 いるのかが相当怪しい
 んですよ」。

特に過去形など
時制の文法があやうい。
それでも、五輪招致の
英語のプレゼンは
絶対自分がやりたかった。
当時、知人の岩瀬大輔・
ライフネット生命社長
からの一言が脳裏から
離れなかったと振り返る。
「雄貴君、生意気な
 しゃべり方をしちゃ
 ダメだ。分かりやすい
 ようにしゃべるんだ」

国際オリンピック
委員会の役員は
非英語圏出身者が多い。
誰が聞いても通じる
言葉を
届けなければと思った。
半年以上前から原稿を
音読し、iPadで撮影。
想像していた自分との
ギャップに愕然とした。
録音機能付きのスマート
フォンに吹き込んで、
抑揚や発音を確認。
最悪の体調でもこなせる
ようにと、強い酒を飲んで
シャワーを浴び、直後に
早口でまくしたてたことも。
「3回噛まずに言えたら
 OK(笑)。自身満々と
 思わなきゃ」

一人ひとりの
プレゼンターがつなぎ、
相手に思いを届ける
行為は、どこか
フェンシングに似ている
と感じた。
「団体戦でありながら、
 戦うのは一人。
 そこでたった一つの
 思いを
 つなげていくんです」

RとLの発音なんて、
前後の文脈から理解して
もらえれば十分だ。ただ、
東京に聖火を持ってきた
かった。
「金(メダル)を取りに
 いかなければならな
 かった。だから、
 プレゼンが苦手とされる
 日本があの時、勝てて、
 僕はムチャクチャうれし
 かったんです」

最年少で
国際フェンシング連盟の
理事に当選し、
現在2期目を務めている。
痛感するのは
「英語の先にあるもの」だ。
「例えば、僕らが
 ダライ・ラマに会いたい
 と思ったら、
 何語だろうが、絶対に
 話を聞こうとするじゃ
 ないですか」

学術や政治などの分野
では微細な表現の違いも
重要だが、日常では
どれだけ相手に伝えたい
のか、聞いてほしいのか
という
「中身=コンテンツ」を
持つことが大事だ。
中身を鍛えれば、伝えたく
なる。
英語はそのツール。
語学力も必然的につく
はずだと話す。
「何でもいい。食べるのが
 好き、コーヒーを
 淹れるのがうまいでも
 いい。
 ニッチな1番を極め、
 それを『横展開』で
 つなぐ。
 僕はフェンシング。
 これを持てたのは大き
 かった」

でも、太田さんは最近、
後輩選手に言い続けている
ことがある。それは
「お前ら、絶対英語勉強
 しろよ」。

フェンシングに限らず、
国際試合の舞台で
英語のできない
日本人選手はいまだに多い
という。
非英語圏の外国人コーチが
8割しか伝えられず、
自分も7割しか分からな
ければ、
「8×7=56%の意思疎通
 しかできない。
 44%もロスしている」。
英語ができれば審判との
会話でジャッジの方向性を
探れる。
国際規格の動向も読み解
ける。選手間交流も実現
する。
「それに英語は、自らの
 セカンドキャリアにも
 生きてくる」

引退後、コーチを
目指しても、国内ポストが
なければ順番待ちだが、
「英語ができたら
 外に出て
 未来を変えられる」
と力を込める。
「順番待ちほど、
 ダメな人生はない
 ですから」
(ライター 加賀直樹)
(AERA'18.3.5No.11
 朝日新聞出版)

posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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