[創作落語] ブログ村キーワード
こないだ、仏壇の宣伝に
出ろ、って話が来たの。
考えて、やめた。
先輩の小さんが墓地の宣伝
やってたでしょ。
これで俺が仏壇売って、
円楽が線香売ってみろよ。
客席だかお彼岸だか
分からねえ・・・
◆いつぞや、客席を盛んに
沸かせていた。
主人公が自分、妻、前妻の
両親計6人の高齢者と
同居する創作落語
『中沢家の人々』のマクラで
ある。
三遊亭円歌さんが85歳で
亡くなった。
『授業中』で一世を風靡した
歌奴の頃を懐かしむファンも
多かろう
◆たまに、お年寄りの
お客様がね、山のアナやれ、
って。もう忘れちゃったよ。
アナアナって、モグラなら
死んじゃってるよ
◆と、高座で語っていたのは
照れ隠しで、過去のおハコに
頼らなくても、
現在のおハコでそれ以上の
笑いを取る自信があったの
だろう。
渋い芸風や枯淡の境地には
目もくれず、爆笑落語
ひと筋の道を歩み通した
人である
◆家族で囲むちゃぶ台。
チャンネルをガチャ
ガチャ回すテレビ。
「山のアナアナ、あなた、
もう寝ましょうよ」
「“寝ましょうよ”だけ、
なんでスッと出るんだ、
このヤロ」。
記憶のなかの名調子に、
昭和の西陽が差す心地が
する。
(編集手帳 讀賣新聞4/25)
ラベル:円歌 歌奴 授業中