2015年05月04日

迷った時のよりどころは「いのちをふたつもちしものなし」

'15年5月4日(月)
[憲法] ブログ村キーワード

殺伐とした世の中である。

戦時中に詠まれた
次の歌だが、この意識は今も
平穏な生活には
欠かせないと思う。

「遺棄死体数百といひ
 数千といふいのちを
 ふたつもちしものなし」

まず、それを取り上げた
毎日新聞のコラムから
-----。


新憲法施行記念式典の
あった1947年5月3日の
東京は雨だった。
憲政の神様と呼ばれて
いた尾崎行雄は
「雨は我々を戒める
 ものだ」と辛口の式辞を
述べたが、そのはずで
「この憲法が
 長く持つとは思えない」と
参列を渋る経緯もあった
▲「平和のひかり天に満ち/
  正義のちから
  地にわくや……」。
式典では最後に
土岐善麿作詞、
信時潔作曲の記念国民歌
「われらの日本」が
東京音楽学校の女子生徒に
より合唱される。
当時の小紙は
「(雨で)冷えきった
 人々の胸に熱いものを
 かき立てた」と報じて
いる
▲善麿は新しい憲法を
めぐる短歌もいくつか
詠んでいる。
「たたかひに
 やぶれて得たる
 自由をもて
 とはにたたかはぬ
 国をおこさむ」。
しかし、戦後の善麿を
代表する歌として今日なお
人の心をとらえるのは
次の一首であろう
▲「あなたは勝つ
  ものとおもつて
  ゐましたかと
  老いたる妻の
  さびしげにいふ」。
永田和宏さんの「近代秀歌」
(岩波新書)によれば
戦時中は敵に同情的と
非難された善麿だが、
好戦的な歌も作った。
その心底まで見抜いて
いたかのような妻の一言が
呼び起こした悔恨だ
▲戦時中に非難されたのは
「遺棄死体
 数百といひ
 数千といふ
 いのちをふたつ
 もちしものなし」と
いう歌である。
命を二つもつ者はいない。
生命の尊さと戦争の無残を
人々の心に呼び覚ます
ことが批判された当時だ。
この歌も時代を超えて
人の胸を打つ秀歌として
残った
▲新憲法の国民歌は
すぐ忘れられたが、
憲政の神様の予想は
大きく外れて
68年後の憲法記念日を
迎えた。人の思いや
価値はどうやって時を
超えるのか。
次の時代に残すものに
思いをめぐらす日である。
(余録 毎日新聞5/3)

産経新聞は、将来をにらみ、
いささか踏み込んだ
コメントを書いている。


学究肌の男に向かって
行動派の男が言う。
「本を読むばかりで何にも
 出来ないのは、
 皿に盛った牡丹餅を
 画にかいた牡丹餅と
 間違えて大人しく眺めて
 いるのと同様だ」と。
夏目漱石の『虞美人草』に
出てくる。

▼絵に描いた餅も、
実物の餅を眺めるだけの
人も役に立たない点では
同じだろう。
牡丹餅を「平和」に置き
換えてみる。
自衛隊と日米同盟に守られた
平和を、
憲法9条に守られた平和と
間違えて−。
「大人しく眺め」てきた人が
戦後の「日本」だとしたら
背筋が寒い。

▼憲法施行からの68年、
「平和の担い手か受益者か」
と問われれば、日本は
後者の色が濃いだろう。
櫻井よしこさんが述べて
いた。
「日本の進むべき道や
 とるべき選択肢を、
 自分の頭で突きつめて
 考えてこなかったから
 ではないか」
(『憲法とはなにか』
 小学館)と。

▼国会に憲法調査会が
できたのは15年前である。
遠慮会釈のない中露や
北朝鮮の立ち回りを見るに
つけ、一国平和主義の
幻想にしがみつく愚を思う。
安倍晋三首相とオバマ米
大統領の共同声明が示す
ように、
日米同盟の守備範囲は
「世界」を視野に語らね
ばなるまい。

▼4月の統一地方選の結果
から、小紙が来年夏の
参院選を予測したところ、
自民党は単独過半数
(定数242)を占めるとの
試算を得た。
与党の公明党、憲法改正に
前向きな維新の党を合わせ
ると約170議席である。
憲法改正の国会発議に
必要な3分の2を超える。

▼世界の常識に沿った
「平和」の担い手となる
なら、憲法改正への道を
避けては通れまい。
われわれ国民も心と頭の
備えが必要である。この先、
日本が世界各地で流すで
あろう汗が甘いか塩辛いか
の議論より、まずは
動くことであろう。
「平和=甘い」の幻想ほど
怖いものはない。
(産経抄 産経新聞5/3)

毎日は護憲の立場から
産経は改憲の立場から
書いている。

いずれも、命は一つの
立場であろう。

若い人が簡単に人を
殺める時代である。
戦時中のほうが、
今よりも人命の尊さを
知っていたのではないか。

勝っても負けても
戦争から立ち直れる国は
今はない。
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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