亡くなったロバート・
ケネディ氏が
司法長官時代に来日
したとき、
エレベータを使わない
ようにしていて
お付きの人たちを
困らせたという話が
ある。
健康のためだそうで、
坂や階段の上り下りを
実践した経験をもとに
慫慂する看護師さんが
いる。
年齢を重ねても
自発的に
筋力や免疫力を
高めていくことが、
人にも医薬にも
極力頼らずに済む
自立した生活の
実現につながる。
12年前、夫も私も
体調不良に
悩んでいた。
足腰の鍛錬が
健康づくりに
つながるだろうと、
近所の坂や階段の
上り下りを始めた。
ふだんは使わない
筋肉を使うため
後ろ向きで
上下するなどの
工夫も凝らした。
夫婦で運動の
ノウハウをまとめ、
斜面(スロープ)を
使ったこの運動を
「スローピング」と
名付けた。
雨の日も風の日も
熱心に励んだところ、
持病のぜんそくが
大幅に改善し、
ぎっくり腰や
偏頭痛なども
いつの間にか
消えていった。
斜面の昇降には、
有酸素運動と
筋肉トレーニング
という二つの
運動要素がある。
心肺機能の向上、
筋肉の増強、
血流の促進、
体温上昇などの
効果について
専門家の研究も
進み、
生活習慣病や
老化の予防・
撃退につながると
期待が
高まってきた。
お金がかからず、
安全にさえ
配慮すれば、
どこでも簡単に
できる。
室内の低い段差
でも良い。
通勤時に階段を
使うだけでも
効果はある。
老若男女問わず、
これほど単純で
効率よく優れた
運動はない。
転倒骨折や
寝たきり予防にも
寄与できるのでは
ないかと考え、
7年ほど前から、
元気な
高齢者向けには
地域の講座を通して、
介護施設では
機能訓練看護師
として
スローピングの
普及に取り組んで
いる。
現場に立って
改めて気付いたのは、
高齢者は一様に
「生涯元気でいたい」
と望んではいるが、
「年なんだから
仕方がない」
とのあきらめも
常態化して
いることだった。
しかし、
実践を重ねるにつれ、
80歳代の方でも
短期間に
骨密度が
アップしたり、
曲がっていた腰が
伸びたり、
認知症が改善して
きたり、
という例を
目の当たりにした。
要介護の状態に
至ってからの
自律回復は
困難を極める。
だからこそ、
運動習慣を
身につけるための
教育と実践指導は、
介護を必要としない
うちにこそ
始める必要がある。
国民こぞって
前向きに
実行すれば、
日本は
「老化と介護」
という
アリ地獄から
脱出でき、
医療・介護費用の
負担を最小限に
抑えていくことが
できる。
自分ができる
簡単な
運動から始めよう。
できる限り
元気でいるための
努力は
人間の責務であり、
(元気でいることは)
最も幸福なことだと
痛感する。
(国際スローピング協会
副代表奈良岡紘子 論点
讀賣朝刊9/11解説面)
参考
奈良岡紘子
国際スローピング協会
副代表、看護師
高齢者施設などで
健康指導を実践、69歳
(讀賣朝刊9/11解説面)

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