2009年08月17日

人生に退屈というぜいたくがないと

'09年8月17日(月)

「退屈は老人にとって、
 最大の敵だ」
と、誰かの本で読んだ
ことがある。

その老境に達してみると、
たしかに退屈がしばしば、
私を訪れるようになった。

無為に過ごす日が
多くなったのである。

いまにして思うと、
仕事に追いまくられて
夢中で過ごした
30代から70代までの
人生は、何か、
ただ慌ただしかった
だけで、
陰翳に乏しかった
ような気がする。

人生は「退屈」という
悩みがないと、
浅い川のように
過ぎてしまうのでは
あるまいか。

動物も退屈する
そうである。

動物行動学者の
日高敏隆氏によると、

「チンパンジーに
 探索行為を
 禁止すると

 退屈のあまり
 精神的な障害を
 きたし、

 病気になったり

 異常な行動を
 はじめたりして

 死んでしまう」

という。

退屈は、
まぎれもなく
「死に至る病」
なのだ。

しかし、
その退屈が
あるからこそ、
動物は探索行動で
生を保っているとも
いえよう。

つまり、動物を
生き生きとした
探索行動へと
導いていくもの
が、
退屈」なのでは
なかろうか。

もう40年近くも
前になるが、
「天井桟敷」を
主宰していた
寺山修司に
インタビューを
したことがある。

そのとき、
あなたの破壊したい
ものは何か、と、
奇問を発したら、
彼は即座に
「習慣。
 それから退屈ですね。
 退いて屈するって
 ことは、
 よかろうはずがない。
 退屈は最悪ですよ」
と答えた。

まったく、
人生は退屈が
あればこそ、
さまざまに
展開していく
のである。

そして老人には、
改めてこの「敵」が
深い想いを
もたらして
くれるのだ。
(森本哲郎 「退屈」の効用
 PHP'09/9抜粋)


若いころは
退屈する暇など
なかったが、
引退すると
何を
いくら考えてもいい
身分になる。

そんなとき、
即座に退屈から
抜け出せる
趣味みたいなものが
あると、
考える暇はなくなるが、
人生には
別のコクがでる。



posted by (雑)学者 at 08:06| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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