2009年08月16日

科学者を育む雰囲気が日本を救う

'09年8月16日(日)

戦争にまつわる
経験が
進路を決めることも
あるようです。

例えば、疎開先の
自然環境が
興味の対象に
なったりとか。

ここからは、
(財)神奈川科学技術
アカデミー理事長
藤嶋 昭さんの話。


「霧の中を歩めば、
 覚えざるに衣湿る」

私は講演などの
冒頭で、
この道元の言葉を
よく引用します。


この程度の霧ならば
濡れないだろうと
思い歩いている。

ところが
知らぬ間に
衣はしっとりと
濡れてしまっている。


人間は知らず
識らずのうちに、
置かれている
環境の影響を
受けているという
ことの譬えです。

酸化チタンという
物質があります。

これは自然の
中にある石から
取り出せるものです。

この結晶を
水の中に入れて
光を当てると、
そこからガスが
発生する。

そのガスには
酸素と水素が
含まれている。

簡単に言ってしまえば、
植物がやっている
光合成という現象を
人工的につくり出せる
ということです。

周囲の目は冷やか
でした。
水が光によって
分解することなど
あり得ない。

周囲から冷やかな
目で見られながら、
どうして
頑張ることができたのか。

そこには研究室の
仲間たちの
燃えるような熱意が
あったからこそです。

新しい研究や技術は
たった一人の力では
生まれません。

取り巻く環境や
雰囲気から

育てられていく。

そういうものだと
私は思っています。

芸術も然りです。
ルノワールとモネは
同じアトリエで
描いていた。
ゴッホとゴーギャンも
同じアパートに
暮していた。

そこには
それぞれ名画を描く
雰囲気が
充満していた。

最近は
小学生の理科離れ
ということが言われて
います。

それは子どもだけの
問題ではありません。

日本の未来にも
関わってくること。

私が大学院時代に
発見した「光触媒」は、
今やさまざまな
場所で活用されて
います。

住宅の窓に
その技術を使うことで、
雨ざらしになっても
窓が汚れることは
ありません。

自動車のミラーに
使えば、
曇ることは
まったくない。

それは事故防止にも
なるはずです。

加えて抗菌効果が
絶大ですから、
何年経っても
清潔なままです。


科学者の最終目的とは
やはり人間の生活を
豊かにするためだ
と思っています。

人間の幸福とは何かを
考えたときに、
それは天寿を
全うすること
だと
私は考えています。

その手伝いを
することこそが、
科学の使命である
と思う。

医学という直截的な
研究のみならず、
環境や利便性などを
追及するのも
科学の役割でしょう。
清潔な環境で
安全に暮らすために。
(今を生きる 文 網中裕之
 PHP'09/9)

posted by (雑)学者 at 08:46| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
突然のコメント失礼いたします。

科学的発想をされる方だと信頼した上で、敢えてご指摘申し上げますが、この「霧の中を行けば覚えざるに衣しめる」は、正しくは道元禅師の言葉ではなくて、道元禅師が中国の「潙山霊祐」という人の言葉を引用したものです。誤解されている僧侶も多いのですが、勘違いされる方が増えても困るので、敢えてご指摘いたしました。よって、『正法眼蔵随聞記』では、「古人云く」と、引用文として用いられています。私が信頼する、曹洞宗の学者のブログにも、そのことが書いてあるのでご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/tenjin95/e/be8b4a20bd0c44215b3c69c4fa9604fc
Posted by 観音寺和尚 at 2009年08月16日 13:44
これを知識として、後々の役に立てたい思う人のために、ブログサービスのSEESAAが削除するまで掲載させてください。なお、このブログの引用部分についてのご指摘につき、訂正せず、文末に注として、追加させてください。
ご指摘ありがとうございました。
Posted by (雑)学者 at 2009年08月16日 20:15
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