2009年01月02日

暮らしの心得 江戸しぐさ

'09年1月2日(金)

市場へ行く人の波に 身体を預け
石だたみの街角を ゆらゆらとさまよう
祈りの声 ひずめの音 歌うようなざわめき
私を置きざりに 過ぎてゆく白い朝
時間旅行が 心の傷を
なぜかしら埋めてゆく 不思議な道
サヨナラだけの手紙 迷い続けて書き
あとは哀しみをもて余す 異邦人
あとは哀しみをもて余す 異邦人

これは、久保田早紀(詞、曲、唄)の
「異邦人」の二番の歌詞。

歌詞の前半は疎外感をもって生きる
今の大都会での暮らしに似ています。

江戸しぐさの語り部、
越川禮子さんは、誰の世話にもならず、
ひとりで生きていけると思っている人が
多いようだが、
そんな生き方をして楽しいのか、
袖振り合うも他生の縁と、
もっとお互いに他人に思いやりをもって
人なかで楽しく生きるべきでは
ないかというのです。

そして、日本人には他人のことを
思いやることができるDNAがある、
江戸時代の人々に学ぶことが
たくさんあるというのです。

徳川幕府のもとに栄えた江戸は、
百万人が住む大都市で、
人が集まれば当然軋轢が起こるが、
町人たちは生活の知恵としての
心得を実践したのだそうです。

そのいくつかを紹介しています。

傘かしげ
 雨や雪の日、大通りから
 一本入った少し狭い道で、
 傘をさした者同士が
 すれ違うとき、
 相手が濡れないように
 傘を外側に傾けるという
 しぐさです。
 当然、お互いにやって
 始めて成立するしぐさ
 です。

肩引き
 狭い路地などで他人と
 すれ違うときに、
 お互いが右肩を
 少し後ろに引いて、
 身体を斜めにして
 胸と胸を合わせる格好で
 通り抜けるしぐさです。

こぶし腰浮かせ
 江戸時代は橋のない川を
 渡るのに乗合船を
 利用しました。
 その船に後から
 乗ってきた人がいると、
 先に乗っていた人は
 こぶし分だけ腰を
 浮かせて席をつめました。
 このしぐさを
 「こぶし腰浮かせ」と
 言います。
 数人が席をつめれば、
 一人分の場所ならすぐに
 つくれるものです。

七三歩き
 車道、歩道の区別が
 なかった江戸時代、
 人々は通りの三割は
 私道、七割は公道と
 わきまえて歩いて
 いました。
 けが人の搬送や飛脚などの
 先を急ぐ人に、
 公道を譲ったのです。
 江戸では交通整理を
 しなくても、
 この「七三歩き」が
 自然に守られていました。
 現代は、道幅いっぱいに
 歩く若者たちや、
 猛スピードで走る自転車など、
 道は必ずしも安全とは
 言えません。

無悲鳴のしぐさ
 驚いたとき、
 思わず大声をあげてしまう
 ことがあります。
 江戸では災害時などの
 無用な悲鳴はパニックを
 起こすとされ、
 「無悲鳴のしぐさ」という
 戒めがありました。
 不意の出来ごとにも
 冷静に対応する心構えと
 言えます。
 道端や会場などで大声で
 呼ぶことがありますが、
 これも江戸でははしたないと
 されていました。
 用事があるなら傍に寄って
 話すのがマナーです。

横切りしぐさ
 江戸人は大勢の前に
 出ていくとき、
 片手を出して
 「あい澄みません」と
 横切っていました。
 混雑した人込みでも
 平気で横切る光景を
 よく見かけますが、
 人の前を通るときは
 一言断るのが礼儀では
 ないでしょうか。

 ちなみに人前を横切って
 よいのは、江戸時代では
 赤ん坊を取り上げに行く
 ときの産婆さんだけだった
 そうです。

駕籠止めしぐさ
 江戸時代、駕籠を使って
 人を訪問するとき、
 決して訪問先に横付けせず、
 手前で降りて歩いていった
 そうです。
 駕籠はひと財産を築いた
 成功者でないとなかなか
 乗れないもの。
 しかしそのような身分に
 なっても謙虚さを忘れては
 ならないという気持ちの
 表れでした。
 タクシーを利用するとき
 このような気持を
 忘れないようにしたいですね。

うかつあやまり
 例えば、電車で足を
 踏まれてしまったとき、
 踏まれたほうも
 「避けきれずに
  うっかりして、

  こちらこそごめんなさい」
 と謝るようなしぐさを
 しました。
 商売では、一度のうっかりが
 命取りになります。
 だから町人たちは、
 危険を回避できなかった
 うかつさを率直に反省して
 謝ったのです。
 私たちは、
 つい「謝ることは損」と
 考えてしまいがちでは
 ないでしょうか。
(NPO法人江戸しぐさ理事長
 越川禮子 江戸しぐさに学ぶ
 暮らしの心得
 PHP特集明日はいい日に!'08/12)




posted by (雑)学者 at 00:00| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すれ違うとき、相手が濡れないように傘を外側に傾けるというしぐさ・・・・に「傘かしげ」という名前がついているとは知りませんでした。

最近、そうした「傘かしげ」という心遣いをマナーとも思わない方達が増えてきたせいか、雨のときに傘をさして人混みの中を歩く気持ちはすっかりなくなりました。

Posted by Ms gekkouinn at 2009年01月14日 05:52
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