2020年10月26日

トランプ熱が冷めない、岩盤支持層が存在する理由

‘20年10月26日(月)

米大統領選は最終盤に入った。
新型コロナウイルスに
感染しても、暴言を繰り返しても、
トランプ大統領の支持率は
4割を維持している。
その理由を見つけようと、
今月20日、トランプ氏の
選挙集会を訪れた。

ワシントンから北西に車で
約2時間、錦秋のアパラチャ
山脈が見えてきたあたりで、
ペンシルベニア州に入った。
2016年の前回選挙で、
トランプ氏が1㌽の僅差で
勝利した接戦州だ。
高速道路を下りると
林業や牧畜が主産業の
小さな町が続く。

米国では選挙前、自宅前の
芝生に支持候補の名前が
印刷された「ヤード・サイン」を
立てることが多い。
トランプ、トランプ、トランプ。
100を超えて数えるのをやめた。
30分間走って、民主党の
ジョー・バイデン前副大統領の
サインは五つしかなかった。

選挙集会会場のエリーは
人口約10万人で、工業が盛んな
中規模都市だ。
市街地に入ると、ヤード・サイン
の数はバイデン氏が圧倒的に
なった。
トランプ氏支持者は郊外と
農村部にいることが、道を
走っただけでわかる。

午後7時すぎ。気温10度を
切る寒さの中、空港の格納庫前の
特設会場に数千人が集まり、
大統領の到着を待っていた。
やがて専用機
「エアフォース・ワン」が
轟音と共に現れた。
ライトアップされたトランプ氏が
右手を大きく挙げてタラップを
下りると、大歓声が上がった。
<あなたたちのために駆けつけた>

見る人をそう思わせる演出の
効果は抜群だ。
トランプ氏は病み上がりと
思えない身ぶり手ぶりで
まくし立てた。
話に脈絡はない。
「バイデン氏は社会主義者に
 党を売り渡した」と決めつけ、
記者席に向かって
「フェイク(偽)ニュース
 メディアの連中を見ろ」と叫ぶ。

約1時間の演説中、多くの人が
うなずいた瞬間があった。
「俺はワシントンのエリートの
 ように振る舞わない。
 あなた方のために戦う。
 今まで誰も俺みたいに戦って
 こなかった」

トランプ氏の岩盤支持層は白人、
中でも大学教育を受けてない層だ。
製造業が衰退したペンシルベニアの
ような州は今、白人労働者の失業や
自殺、薬物中毒増加などの深刻な
問題に悩む。
トランプ氏が問題を解決した
わけではない。

会場で支持者に話を聞いた。
自営業の男性は
「我々のためにワシントンの
 既存勢力と戦い、経済を
 立て直してくれた」と
興奮気味に語った。
新型コロナ対応についても、
「悪いのは中国だろ」と言い
切った。

大統領選の結果がどうであろうと、
この人たちの
エリート=ワシントンへの
反感は消えず、米国政治の
波乱要因であり続ける−−。
ワシントンへと戻る車中、そう
確信した。
(ワールドビュー 中島健太郎アメリカ総局長)
(讀賣新聞10/25 7(国際)面)

ラベル:米大統領選
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする