‘20年5月30日(土)
トランプ米大統領は27日、
米国の新型コロナウイルス
感染死者が10万人を突破した
ことについて沈黙を守った。
米メディアは27日、
初の死者から4カ月
もたたずに10万人を
超えたと大々的に報じた。
だがトランプ氏は
南部フロリダ州への
日帰り訪問の際、
報道陣に姿を見せても
コメントはしなかった。
得意げに株価や支持率を
ひけらかすのとは対照的で
「数字にこだわるのに
死者10万人は無視」
(ワシントン・ポスト紙)と
やゆされた。
代わりにツイッターには
「だめな極左メディアと
『何もしない民主党』が、
対応が遅れたと言いふらして
いるが違う。とても早かった」
と投稿した。
【ワシントン共同】 (共同通信社5/28 19:19)
〇中南米各国米ジョンズ・ホプキンス
大学の集計で
日本時間28日朝、米国の
感染死者が10万人を
超えた。感染者は170万人。
米国ではこのところ
感染拡大のペースがやや
落ち着いてきているが、
経済・社会活動の再開に
よって再び感染が拡大して
いる地域もあり、
ウイルスとの闘いの終わりが
見えない状態だ。
一方、5月1日時点では
8万5000人だったブラジルの
感染者が5倍以上の約44万人
まで増加。ペルー、チリ、
メキシコなど中南米各国での
感染拡大が顕著となっている。
(JAPAN DATA5.29)〇コロナ対策「日本モデル」新型コロナの緊急事態宣言が
解除された。
かつて海外メディアは
「日本の新型コロナ対策は
生ぬるい」とか
「このままでは東京は
ニューヨークのような
地獄になる」などと
安倍政権を批判していたが、
このニュースでは論調が
一転している。
日本の死亡率はなぜ
イギリスの1/100なのかイギリスのフィナンシャル・
タイムズ(FT)は
「安倍首相は
日本モデルでコロナを
撃退したと勝利宣言した」
と日本の成果を称えた。
アメリカの死者は9万2000人、
イギリスの死者は3万7000人
だが、日本は830人。
人口比でみると、イギリスの
死亡率は日本の100倍以上で
ある。BBCは
「ロックダウンを実施する
法的強制力が政府にない中、
日本が新型ウイルスの
感染拡大を抑制できた
ことについて、
多くの感染症の専門家は
不思議がっている」と論評した。
ウォール・ストリート・ジャーナル
(WSJ)はこうコメントした。
日本の感染・死亡率の低さを
どの程度、政府の功績と認める
べきかは議論の余地がある。
政府当局者は、
マスク着用の高まりと定期的な
手洗いなどの良好な個人衛生が
中心的な役割を果たした
可能性があると述べた。
日本の8つの大学の医学研究者の
グループは、
西洋人と比較した日本人や
他のアジア人の遺伝的な違いが
東アジアとヨーロッパの違いを
説明するのに役立つかどうか
調べている。
この大きな死亡率の差は、
政策の違いだけでは説明でき
ない。
日本の自粛は法的拘束力が
なく、西欧のロックダウンより
はるかにゆるやかだった。
WSJは遺伝的要因を示唆して
いるが、
これはどうだろうか。
遺伝でも獲得免疫でもない
「ファクターX」「イギリス系白人」を基準に
すると、アジア系の死亡率は
やや高い。
中国系
(遺伝的には
日本人とほぼ同じ)の
死亡率は白人の半分ぐらいだが、
これだけで100倍の差は説明
できない。
黒人の死亡率が高い原因には
所得の影響もあるので、
遺伝的な要因だけで
日本の成功を説明することは
できない。
では海外にいる日本人の死亡率は
どうだろうか。
外務省の発表によると、
海外に滞在している
日本国籍の人のうち、93人が
新型コロナに感染し、
うち7人が死亡した。
これがすべてだとすると、
在外邦人は約140万人なので、
死亡率は20万人に1人で、
日本国内の15万人に1人という
死亡率とほぼ同じだ。
つまり日本人の死亡率の低さは
日本生まれではなく
日本育ちだという要因がある
ものと思われる。
よくいわれるのが、
他の種類のコロナウイルスに
対して
日本人がすでにもっていた
抗体の交差反応
(遺伝子配列の近いウイルスに
対する免疫反応)ではないか
という説だ。
これは2009年の新型インフル
エンザの感染が日本で少なかった
原因とされるが、
具体的にどういう抗体かは
わからない。
もう1つは、東アジアには
昔から中国系コロナウイルスが
入っていたため、抗体の中に
それに対する免疫があり、
その免疫記憶が機能したのでは
ないかという説だ。
これは児玉龍彦氏らのグループが
発表したものだ。
もし日本に感染で抗体を
獲得した人が多いとすれば、
その原因は獲得免疫だという
ことになるが、
これは児玉氏のグループが
行った抗体検査で否定されて
いる。
500検体のうち陽性は3人。
抗体陽性率は0.6%である。
消去法で考えると、
遺伝でもなく獲得免疫でも
ない未知の要因がきいたと
推定するしかない。
これが山中伸弥氏のいう
ファクターXである。
予防接種をやめた先進国の
感染率が高い最後に残るのが、BCG接種で
自然免疫
(呼吸器疾患に対する
非特異的な免疫)が活性化
されたためではないかという
説だ。
国別にみたBCG接種率と新型
コロナ死亡率には強い相関があり、
肯定的な論文(査読前)が
全世界で20本以上出ている。
ただ因果関係はわからないので、
オーストラリアやオランダなどで
BCGの臨床試験が始まっている。
今のところこれがもっとも有力な
仮説だが、他の要因も寄与して
いる可能性がある。
100倍の差は、1つの要因では
説明できない。
結核感染率と新型コロナ感染率の
逆相関も強い。これは検査が少ない
という原因も考えられるが、
結核に感染した人は呼吸器疾患に
対する自然免疫が強化されたため
と考えることもできる。
西欧と北米以外の多くの国では
死亡率は低い
(10万人に1人以下)ので、
これはむしろ西欧圏に特有の
脆弱性と考えたほうがいい。
これは常識とは逆である。
今までの感染症は公衆衛生の遅れて
いる発展途上国で多く、今回も
WHO(世界保健機関)はアフリカの
被害が増えることを警告しているが、
大陸別ではアフリカの死亡率が
もっとも低い。これは
結核やマラリアなど、もっと深刻な
感染症で自然免疫が高まっている
ためと考えられる。
他方コロナ死亡率の高い国の共通点は、
公衆衛生が整備されて予防接種の
義務化をやめたということである。
従来の公衆衛生では、病原菌や
寄生虫を駆逐して環境を清潔にする
ことが目的だったので、病原菌が
いなくなると予防接種は必要なく
なる。
医療が発達して
病気が薬で治療できるようになると
「反ワクチン派」が増え、
予防接種を個人の選択にゆだねる
ようになる。
こういうリベラルな民主国家に、
新型コロナの被害は集中している
のだ。
それに対して途上国では公衆衛生も
治療も不十分なので、政府が一律に
予防接種することが安上がりだ。
日本は先進国の中では例外的に
途上国型の医療制度を維持している。
国民皆保険という制度は、世界にも
ほとんどない。
このような制度的要因も含めた
「ファクターX」を解明することは
重要だ。それは
今年の秋にも予想される
「第2波」に備える対策として必要な
だけでなく、
「意図せざる成功」の原因を世界に
伝えることは日本の使命である。
(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)
(JBpress5/29 08:00) 参考
査読研究者仲間や同分野の専門家による
評価や検証のこと
(Wikipedia)。
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☀|
Comment(0)
|
日記
|

|