2019年07月05日

羽田を世界一清潔な空港にした掃除のプロ新津春子さん

'19年7月5日(金)

7月2日、
「プロフェッショナル
 仕事の流儀」(NHK)に、
羽田空港の清掃人・
新津春子さんが再び登場
した。
4年前の同番組の放映では、
大反響が巻き起こり、
国内はもちろん、中国や
台湾、イギリスなどからも
取材が殺到した。
新津さんが
清掃の実技指導を務める
羽田空港は、
4年連続6回目の
「世界一清潔な空港」に
選ばれた。

今回、新津さんと久々の
再会をはたした同番組
ディレクター・
築山卓観氏に話を聞いた。

朝7時前。空港で
久しぶりにお会いした
新津さんは、以前と
変わらないどころか、
さらに元気いっぱい
でした。
以前は電車通勤をされて
いたのですが、今は
ご自宅から40分かけ、
1日2万歩を日課に
張り切って
歩いているんだと、
人なつっこく
笑いかけてくれました。

その笑顔を見たとたん、
4年前のことがまるで
昨日のことのように
甦ってきました。
初対面の時に空港で迷う
私を探しに来てくれた、
優しさに満ちた笑顔。
そして、ご自身の大変な
生い立ちを涙ながらに
語ってくれた夜や、
空港のトイレ清掃に夜中
ひとりで向き合っていた
真剣なまなざし。
そして朝焼けに包まれ
ながらゴミを拾い続ける
神々しい後ろ姿。
そして、そんな彼女と
向き合った日々が、
当時ディレクターとして
壁にぶつかっていた自分を
大きく成長させて
くれたんだとしみじみ
思い出され、思わず
涙があふれそうになった
私は、その場を
取り繕うことで精一杯で
した。

でも。ふと見ると、
同じように目をぬぐって
おられる新津さん。
再会は、どちらともなく、
自然なハグから始まりま
した。

4年前の放送後、複数の
出版社の方から、
新津さんの半生や
清掃技術を書籍化したい
という話を頂いたことは
覚えていますが、
この4年で12冊もの書籍を
出されていたことには
驚きました。しかも
そのうちの1冊は、なんと
中学生向けの道徳の教科書
でした。

幼い頃から、残留孤児二世
として中国と日本で壮絶な
差別やいじめを受け、
さらに生活苦の中で就けた
仕事は清掃しかなく、長らく
正当な評価を受けてこられ
なかった新津さん。
私は、そんな彼女の仕事と
生き方が、多くの方に
知られ、世の中の尊敬を
集め、社会的評価や相応の
金銭を受けることは、
まっとうなことだと思って
います。
ですから、それだけの本を
出されたことにも喜んで
おりました。

ですが、当の新津さんの
考えは、そういう私の考えや
「世の中の常識」とは
全く違うところにありました。
驚くことに、
書籍の売り上げや印税と
いった類いのものを、
全く受け取っていないそう
なのです。
出版社が印税を払っていない
のではありません。
新津さんは、
「それは、私を育てて
 くれた故・鈴木常務や
 会社に恩返しすべきもの
 なのです」とおっしゃい
ます。お金はいらない、
でも
“自分の考えや技術が誰かの
 ためになるなら惜しみ
 なく伝えたい”、

その一心でマスコミの
取材や、書籍化などの話を
受けてきたと。

今回、ロケ中に次のように
お聞きしました。
「人は有名になる程に、
 地位や名誉、お金に
 揺らぎそうな生き物じゃ
 ないですか。なぜ地位や
 名誉やお金になびかない
 のですか?」

すると、即答されました。
「興味ないね。
 私は少しでも現場に
 関わっていれさえ
 すればいいから。
 じゃないと、私が私じゃ
 なくなるからね。
 私は生きているうちに、
 携わるところ全てを
 きれいにしたいから。
 現場では毎回新しい
 発見があるのよ。
 常に自分を更新していか
 ないと、きりがないのよ。
 進化していかないと。
 そうして、逆にお客さんに
 “ありがとう”って言われ
 たら、それより嬉しいこと
 なんてないと思ってるの。」

番組でも少し紹介しま
したが、新津さんの存在は
今や国内にとどまらず、
世界に知られています。
はるばるイギリスBBCが
取材に来日し、
アジア各国から、現地の
企業や空港での清掃指導に
招かれ、地元新聞や雑誌に
「国宝級日本人」と
特集が組まれるほど。
なんと中国の複数の企業
からは、破格の報酬を
提示され、
ヘッドハンティングまで
されたそうです。

でも、新津さんは全く
揺らがない。

自らの清掃を究めるため、
それらのスカウトは全て
断り、むしろスタッフの
少ない部署に異動し、
今はハウスクリーニング
という新たな現場で奮闘
されています。
「4年前に、私のことを
 “プロフェッショナル”
 として紹介してくれた
 じゃない? 
 でも私は自分では
 そう思ってないんです。
 まだスタートラインに
 立っただけだと思ってる
 ので、そこから新鮮な
 気持ちで、常に自分を
 更新し続けていくのが
 私のやり方です。」

4年前と変わらない、いえ、
さらに研ぎ澄まされていた
新津さんのプロフェッショ
ナリズムに、私たち撮影
クルーは圧倒されっぱなし。
(略)
(AERA.dot7/3 16:00)
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする