2019年06月06日

人権問題と停滞する経済成長は中国変動の火種になる

'19年6月6日(木)

興梠一郎神田外語大教授
(現代中国論)に聞く。

この30年間で、
治安維持を名目にした
国民への情報統制や監視は
一層強まった。
1978年に導入した改革・
開放政策のさなかに天安門
事件が起き、中国は
「思想の開放は危険」との
認識に至った。
結果、学生たちへの
武力弾圧を正当化するため、
経済発展優先の姿勢は堅持
する一方、自由や民主化を
求める言葉は封じた。

事件後の92年、ケ小平は
「南巡講話」で改革・開放の
加速を呼びかけた。
経済成長に弾みをつける
中国を目の当たりにした
米国などは、中国を自由
貿易システムに取り込めば、
政治体制の改革も進むと
いう期待から、2001年に
中国の世界貿易機関
(WTO)加盟を認めた。
中国は国外からの投資が
増え、世界第2位の経済
大国となった。

しかし、期待は裏切られた。
実際の中国は、政治体制の
改革が進まぬどころか、
党の批判を封じる国民の
思想統制が巧みになった。
対日批判を利用した
愛国主義教育も徹底した。
国民は豊かになり、党の
監視対象になる危険を
冒してまで政治を口に
しなくなった。

習近平政権下で、
権力集中が一層進んだ。
WTOに加盟したのに、
国有企業の強化など
市場経済化と逆行する
動きも目立つ。
警戒感を強める米国との
間で貿易摩擦が起き、
世界経済に波紋を広げて
いる。最近は、毛沢東が
提示した経済建設の
スローガン「自力更生」
という言葉も使い始めた。

米国の圧力は続き、
経済状況の悪化で国民の
閉塞感は強まるだろう。
政敵や対抗勢力を排除した
反腐敗運動も副作用が懸念
される。将来、政治的な
変動があるとすれば、
党内の分裂がきっかけに
なるかもしれない。
(聞き手・国際部 南部さやか)
(讀賣新聞6/5 7(国際)面)
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする