『高橋是清自伝(上・下巻)』
(上塚司編、中公文庫)を
読むと、是清の人生観に
「ほめる」「ほめられる」が
横たわっていることがわかる
◆米国に留学して奴隷の
扱いを受けたり、
大蔵大臣になってぼろぼろに
なった経済の立て直しを
任されたり・・・。
幼い頃から藩士の奥方たちに
かわいがられ、何かに
つけてほめられたことが
大変な人生を切り抜ける
のに役立ったと書いている
◆自分をほめるのも上手
だったにちがいない。
苦しんだ。でも頑張り続け
たと、自分を心底たたえて
いい頃合いだろう。
きょう(11日)東日本
大震災から8年を迎えた
◆親を亡くし、子供を
亡くし、きょうだいを
亡くした人はたとえ一秒
でも悲しみが胸を離れない
歳月だったろう。
その間にもしかし、宝が
そだっている。
宮城県の多賀城高校では
今春、災害科学科の1期生
33人が卒業し、新たな
舞台へと飛び立った。
痛切な不幸に襲われた
あの日、10歳でしか
なかった子供たちが成長し、
自然の猛威に立ち向かう
道を進むという。
この先どれほどたくさんの
命を救うことだろう
◆使命感と温かさに
包まれるその気持ちだけ
でも、ほめられるに
値する。
(編集手帳 讀賣新聞3/11)
ラベル:高橋是清 災害 ほめる