'18年12月29日(土)
[和食] ブログ村キーワード日本の伝統的食文化として
「和食」が国連教育・科学・
文化機関(ユネスコ)の無形
文化遺産に登録されて今月で
5年の節目を迎えた。
海外での知名度は高まった
ものの、国内の日本料理店は
後継者難などで減少、家庭の
食卓でも敬遠されている。
背景に暮らし方の変化もあり、
時代に即した継承を模索する
動きが広がる。
金沢市の料亭「つる幸」は
11月末、半世紀に及ぶ店の
歴史に幕を下ろした。
1965年に開業し、独創的な
懐石料理で、各界の著名人
にも愛された名店。
2代目主人の河田康雄さん
(52)は、時代の変化を感じ、
閉店を決断したという。
「料理はもちろん、季節を
感じさせる座敷など
すべてのおもてなしで
日本料理は成り立つ。
だが、料理人を志す若者は
減り、修業を始めても
辞めてしまう。十分な
おもてなしができない」
来年夏をめどに、
カウンター中心の小さな
店を開く。
「時代に合わせて
変わらなければ生き残れ
ない」と河田さんは話す。
料亭などの業界団体
「全国料理業生活衛生同業
組合連合会」
(事務局・東京)によると、
加盟する料亭や日本料理店の
数は89年度には約8000
あったが、2015年度には
約3000まで激減。
都道府県ごとの組合のうち
6県は廃業増などで解散
した。多様な外国料理店が
進出して選択肢が広がった
ことで、本格的な日本料理は
値段が高いといった印象が
強まった。店の後継者難も
大きな理由だ。
同連合会会長で、京都の
老舗「美濃吉」10代目
当主の佐竹力総
(りきふさ)さんは
「日本人は
年中行事や儀式の際に
食事を共にして
絆を深めてきたが、
そうした文化は核家族や
都市化で衰退した」
と指摘する。
和食はご飯と汁物に、魚や
肉、野菜のおかずを合わせ、
栄養バランスの良い献立を
組み立ててきた。
だしやしょうゆ、みそ
という伝統的な調味料を使う
ことが多い。
しかし食生活はパンや
パスタなど洋食化が進む。
農林水産省が17年に行った
調査によると、和食文化を
家庭や地域で受け継ぎ、
次世代へ伝えているという
人は38%にとどまった。
子育て世代に聞いた和食の
イメージは
「手間がかかる・面倒」などが
挙がり、敬遠される傾向が
強かった。
東京の日本橋料理店
「つきぢ田村」の3代目の
田村隆さんは
「無形文化遺産登録は
『和食は絶滅危惧種』
という忠告。それは
今も変わらない」
と危機感を募らせる。
小学校で、だしを使った
普通のみそ汁と、みそを
お湯で溶いただけの汁を
食べ比べさせると、
後者をおいしいという子が
3割弱いて驚いたという。
背景には、暮し方や家庭の
変化もある。食卓の研究を
続ける大正大学客員教授の
岩村暢子さんは
「和食は、自然を尊重し、
旬の素材を生かす
調理法やタイミングで
提供するのが基本。
今は、家族がそれぞれ、
好きな物を好きな時に
食べる」と指摘。
1960年以降インスタント
食品が増え、調理体験は
減った。親や年長者に
合わせることにより、
「個」の好みやペースを
尊重するように
家族関係も変わった。
「和食の伝統とは、
人が自然や家族と
どう向き合うかという
難しい問いでもある」
と話す。
この5年間、和食の良さを
見直す活動も活発になった。
東京都杉並区立三谷小学校は、
ご飯、みそ汁、ブリ大根
といった和風の給食や食育に
取り組んできた。
2014年度から児童が弁当を
自分で作って持ってくるなど、
さらに力を入れる。
朝ご飯が和食の家庭は、
10年前の2割から昨年は
4割まで向上。
栄養教諭の江口敏幸さんは
「子どもが学校で和食に
楽しんだことで、保護者に
作ってほしいと言うように
なった」と話す。
一般社会法人・和食文化国民
会議(東京)は、11月24日を
「いい日本食」と読ませて
和食の日と定める。
今年は8500超の学校などで
和食の給食や授業を実施し、
情報発信に力を入れる。
同会議会長で龍谷大学教授の
伏木亨さんは、
「手間をかけた和食の
素晴らしさも大切に
したいが、大人も子どもも
多忙な今、そのまま
引き継ごうとするのは
現実的ではない。
加工品なども活用し、
まず気軽に親しんでほしい」
と提案する。
東京五輪を控え、さらに
和食は世界から注目される。
まず国内の関心をいかに
高められるかが問われる。
(讀賣新聞12/28
11(解説)面)
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☀|
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