2018年10月22日

恥を忘れると信用を置き去りにして不正を働く

'18年10月22日(月)
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東京の桜田門から虎ノ門へと
走る道は桜田通りと呼ばれる。
戦前、通りの南側には
<明治の匂いのする
 古風な赤煉瓦の建物が
 二つ建っていた>と、
阿川弘之さんの小説
『春の城』にある。
その一つが海軍省だった
▼阿川さんいわく海軍は
ムダ、ムラ、ムリを嫌い、
言葉尻を取った
「ダラリ追放」の標語も
掲げたという。
「ジリ貧を避けようとして
 ドカ貧にならぬよう
 ご注意願いたい」。
日米開戦前夜、海軍相の
米内光政が主戦論を懸念
した言葉は、同じ文脈から
出たものだろう
▼社会を揺らす騒動を
重ねてしまう。
コスト削減という時代の
求めが、人員削減を招く。
人手不足に陥った
モノづくりの現場が、
納期順守という市場の
ノルマにあえぐ。
じり貧を免れるため、
不良品を良品と装う
データ改竄(かいざん)
手を染めたとすれば悲しい
筋書きである
▼油圧機器大手のKYBなど
による免震・制振装置の
不正は、1千件を超す建物の
信用を土台から揺らしている。
建築基準法で「不適合」と
なるはずの免震装置は、
海軍省のあった辺りに建つ
中央合同庁舎第1号館・
本館にも使われていた。
妙な因果というほかない
▼不良品のムダ、品質のムラ、
現場のムリ。
海軍の嫌った悪とは違う形の
「悪」が、立て続けに露見
する製造業の不正に通底して
いる。
日本社会をむしばむ病といえ
ないか。となれば、
禁を犯した企業にだけ責めを
負わせても根治はしまい。
対処に困る重い病である。
▼吉野弘さんは詩の一節に
こう詠んだ。
<「裏」の中に「表」があります
 /裏を見れば表もわかるのが
 世の常>と。
手に取る品物、安住のよすがと
する建物に寒いものを覚える
だけではない。
世界に向けて日本が売ってきた
「信用」という品の、値札の
正味さえ疑われるのがつらい。
(産経抄 sankei.com10/21 05:00)
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする