2016年12月31日

故人は情熱に励まされた感性の澄んだ人たちであった

'16年12月31日(土)
[言葉] ブログ村キーワード

惜しまれつつ、今年も
多くの人が旅立った。
反骨のジャーナリスト
むのたけじ氏(享年101)は
書いている。
<預言者は葬列の中から
 現れる>(『詩集たいまつ』)
残された言葉で亡き人を偲び、
願望をこめて“預言”に
耳をすます
◆愛知県犬山市を旅した
永六輔さん(享年83)は、
掲示板の言葉を心に留めた。
<子供を叱るな来た道じゃ/
 老人笑うな行く道じゃ>。
まなざしの優しい世に
◆イタリアの作家ウンベルト・
エーゴ氏(享年84)の
『薔薇の名前』より。
<アラユルモノノウチニ
 安ラギヲ求メタガ、
 ドコニモ見出セナカッタ。
 タダ片隅デ書物ト共ニ
 イルトキヲ除イテハ>。
本が愛される世に
◆演出家、蜷川幸雄さん
(享年80)の回想にある。
<休養して充電したほうが
 いいと書いた批評家も
 いたな。誰が充電なんて
 するか、電気カミソリじゃ
 あるまいし>
(『千のナイフ、千の目』)
◆青春期を兵隊として
生きた作家、伊藤圭一さん
(享年99)に『微風』 
という詩がある。
<掌(て)にうける/
 早春の/陽ざしほどの
 生甲斐でも/ひとは生き
 られる>。
陽ざしの絶えぬ世に。
戦火のない世に。
(編集手帳 讀賣新聞12/30)

<預言者は葬列の中から
 現れる>とは、
宗教的な感じがする表現で
あるが、
故人の生き方を知る人が
葬列に加われば、
故人の思いが十分に伝わる。

深い言葉は遺言や預言と
なり、時には後世への警告
ともなる。
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2016年12月30日

人は動物、言葉より行動の方がより多く相手に伝わる

'16年12月30日(金)
[慰霊] ブログ村キーワード

真珠湾慰霊
米ハワイ・オアフ島の
真珠湾で27日午後
(日本時間28日午前)に
行われた慰霊の式典では、
安倍首相は演説終了後、
縁台のわきでイヤホンを
使って演説を聴いていた
生存者3人に歩み寄り、
一人ずつ握手を交わして
抱き合った。

首相の抱擁を受けた
戦艦ペンシルベニアの
元乗員エバレット・
ハイランドさん(93)は、
「あれから75年。
 日米がこんなに
 素晴らしい関係に
 なるとは」と喜んだ。
真珠湾攻撃で重傷を負い、
9か月間入院。
「当時は日本を憎んだが、
 26年前に結婚した
 妻の母国を
 憎む気持ちはない」。
未来に向けた和解の
重要性を説く
首相の演説に対して、
「和解は日米だけでなく、
 世界中でも
 なされるべきだ」と
感じたという。

真珠湾攻撃で
犠牲となった兵士の遺族も、
首相の演説を特別な思いで
聴いた。

戦艦「オクラホマ」に
いて命を落とした
ジョン・チャールズ・
イングランドさん
(当時20歳)の孫娘、
ベサニ・グレンさん(48)は
「祖父を弔ってもらえた。
 真珠湾に足を運び、
 演説し、生存者を
 抱きしめるという
 首相の行動は、
 単なる謝罪の言葉より、
 よっぽど重みがある」
と話した。

一方、オバマ氏は演説で
ハワイの日系人に触れ、
日系人部隊の
「第442連隊戦闘団」
などの戦中の活躍を称賛し、
日系人元兵士らと握手を
交わした。
第442連隊に志願した
日系2世のハーバード・
ヤナムラさん(92)は、
「日米にとって
最高の瞬間」と喜んだ。
【ホノルル=田原徳容】
(讀賣新聞12/29 30(社会)

 
世界のために
幕末に暗殺された
坂本龍馬の子孫断絶を
朝廷は惜しんだ。
養子となった姉、
千鶴の子、直(なお)には
驚くべき言い伝えが残る。

▼父親の法要に、
「龍馬を斬った男」と
される今井信郎(のぶお)
招いたというのだ。
今井は殺される覚悟で
出席する。ところが、
直は歓待して語った。
「過去のことは忘れて
 これから
 新しい日本の為にともに
 やりませう、私は
 あなたにお目にかゝれて
 ほんとうにうれしい」
(『日本人の叡智』磯田道史
 (みちふみ)著)。

▼米ハワイの真珠湾にある
アリゾナ記念館は、
75年前の日本軍による
奇襲攻撃で沈んだ戦艦の
上に建てられている。
安倍晋三首相とオバマ
大統領は慰霊の場を訪れ、
攻撃で亡くなった人々に
献花して、黙祷をささげた。
首相はその後の演説で、
かつて激しく戦った相手に
米国民が示した
「寛容の心」に感謝を示し、
「和解の力」を強調した。

▼大統領は首相が
「希望の同盟」と呼ぶ
日米同盟について、
さらにこう述べた。
「新たな世界大戦を防ぎ、
 国際秩序の強化に貢献
 している」。両首脳は、
「過去のことを忘れて」
いるわけではない。
それを乗り越世界の発展のために
「ともにやりましょう」と
改めて誓い合った。
 
▼中国の空母の西太平洋
進出について
昨日(28日)のコラムで、
トランプ新政権への牽制が
目的、と書いた。むしろ、
日米両国が確認した同盟の
揺るぎなさに対する、
いら立ちの表れかもしれ
ない。中国外務省の
報道官は、首相の真珠湾
訪問を「パフォーマンス」
と切り捨てた。

▼それに呼応するように、
日本の市民団体も批判の
声を上げる。
「今さら米国との和解を
 演出しても、アジア
 侵略の事実は消せない」。
日本の謝罪を奇貨として、
さらなる歴史戦を仕掛けて
くる国と、どのような
和解が可能だというのか。
(産経抄 産経新聞12/29)

参考
小菅信子教授が和らげた英国の反日感情 
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2016年12月29日

ノーベル賞受賞の大隅さんが心配する科学立国の危機

'16年12月29日(木)    
[科学力] ブログ村キーワード

近年、日本人のノーベル賞
受賞が続き、日本の科学力を
示しているといわれる。
2010年以降だけでも
9人の受賞がいる。
しかし、今年受賞した
大隅良典氏は、近年の
日本の科学技術予算の低迷と、
若手研究員や大学の研究者が
置かれている状況に
危機感を抱き、今後、
日本の研究力は落ちると
警告している。

実際、若手研究員の
ほとんどは任期が数年で、
毎年契約更新をしなければ
ならず、給与水準も低い。
日本学術会議によれば、
生命系のポスドク
(博士研究員)の場合、
40%が年収400万円以下で、
40代半ばでも500万円
程度だ。

キャリアパスも不安定で
常勤の研究職に就ける
割合は非常に低い。
職を得ても
すぐ次の職探しに追われ、
不安定なポスドクを一生
続ける人もいる。
民間も博士受け入れに
消極的である。

理由は2つだ。
大学など研究機関の予算が
毎年削減され常勤ポストが
減り、数年程度の有期雇用
ばかりが増えている。
そのため常勤ポストは
大変な競争だ。
また、1990年代から
大学院重点化の名のもと、
学部定員を減らして
大学院の定員を増やし、
博士課程の院生数は
2.5倍になった。

入り口の大学院の定員を
増やしても、出口の
ポストも予算も減らせば、
研究が進展するはずがない。
落ち着いて独創的な
研究などと言っては
いられず、
早く目に見える成果を
出そうと、目先の研究、
はやりの研究に飛びつく。

国際的評価という要求が
この傾向に拍車をかける。
手っ取り早く
国際的評価を高めようと
すれば、手軽なのが
米国ではやっている
研究の修正だ。
これでは米国の研究の
引用数を増やすだけで、
独創的な研究など
絶望的だ。

これは、
アベノミクスでの雇用の
拡大と同じだ。
消費も投資も国内総生産
(GDP)もほとんど
増えていないのに、
雇用だけが増えている。
数だけ増やしても
質の劣化が起こる。
企業なら、単純労働に
非正規雇用を割り当て、
コスト削減を図ることに
意味もあろう。
しかし、独走性を要求する
研究職にこの方法は
もっとも適していない。

独創的な研究者を
育てたいなら院生の数を
抑え、その後のポストを
増やして、落ち着いて
研究させるべきだ。
研究環境を悪化させて、
独創的な研究を
期待できるはずがない。
魔笛)
(大機小機 科学立国の危機
 日本経済新聞12/27
 17(マーケット総合2)面)


参考
 ポスドク
  博士号は取得したが、
  正規の研究職または
  教育職についていない者。
  (大辞林)

 キャリアパス
  ある職位や職務に
  就任するために
  必要な業務経験と
  その順序、配置移動の
  ルートの総称。
  噛み砕いていうと、
  キャリアアップの道筋。
  どのような仕事を
  どれくらいの期間経験し、
  どの程度能力が
  身につくとどのポストに
  就けるのかを明確化した
  もので、人材育成に
  おいて欠かせない
  キーワードだといえる。
  (転職大辞典)
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月28日

真珠湾攻撃以降、日本人は米国人とは別の動物にされた

'16年12月28日(水)
[収容所] ブログ村キーワード

「この瞬間から
 アメリカ合衆国の
 日本人は(中略)
 ほかのアメリカ人とは
 別の種類の動物に
 なってしまった」。
新訳が今年、出版された
日系2世作家ジョン・
オカダの小説
「ノーノー・ボーイ」は
こんな描写で始まる。
“この瞬間”とは、
日本軍の真珠湾攻撃の
ことだ。
▼カリフォルニアなどに
住む日系人約12万人が
砂漠に設置された
強制収容所に移送された。
米国で生まれ、
米国籍を持つ2世らも
例外ではなかった。
思想調査で
「米国への忠誠」
「米軍での兵役」を
拒否した男性は
ノーノー・ボーイと
呼ばれ、とりわけ過酷な
扱いを受けた。
この小説の主人公も
収容所から刑務所へ
送られる。
▼米政府はのちに
日系人収容を謝罪した。
これは米国の内政問題で
ある。だが、その発端が
対米開戦という日本の
暴挙にあったことは否定
できない。日本中が
「勝った、勝った」と
沸いた
ハワイ奇襲で始まった
戦争はアジア太平洋の
住民を苦難に巻き込み、
最後は銃後の日本人にも
多大の被害をもたらす
惨劇で幕を下ろした。
▼昭和の作家、
芹沢光治良の
「戦中戦後日記」にこんな
くだりがある。
「近頃会う人が痩せたと
 いう。肉を食わないこと
 一ケ月余、魚も一日置き」。
開戦5日前だ。
こんな食糧事情でよくぞ
戦争をしたものだ。
安倍晋三首相の真珠湾での
演説は日米同盟の価値を
確認するものになるという。
ここまで来るのに75年も
かかった。
(春秋 日本経済新聞12/27)

戦争が終わっても
憎しみは、代々引き継がれて
消えないで残る。
戦争は、スポーツとは違って
憎しみがなければ戦えない。
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月27日

損得を計算しないで本音を言ってはいけない

'16年12月27日(火)
[本音] ブログ村キーワード

福岡県飯塚市の斉藤守史
(もりちか)市長と副市長が、
平日昼間に賭けマージャンを
していた。これだけでも
驚きだが、記者会見での
市長の開き直ったような
発言には、耳を疑った。
「金を賭けずに
 マージャンをする人が、
 どれくらいいるんです
 かね」。

▼兵庫県西宮市の今村岳司
(たけし)市長も強気な
姿勢を崩さない。授業を
抜け出して、たばこを吸い、
マージャンをしていた。
中高生を対象にした
市主催のイベントで披露
した、自らの中高生時代の
「武勇伝」が物議を醸して
いる。市長は発言の撤回を
拒否した。

▼確かに近頃、建前より
本音をもてはやす風潮が
目立つ。
ブログやツイッターなど、
メディアを通すことなく、
世の中に自分の主張を
伝えられる手段も増えた。
今村市長は議会で
女性議員に批判されると、
ブログにこう書き込んで
いた。
「『お下品ザマス!』って
 言っている女教師みたい」。

▼2人にとって、米国の
トランプ次期大統領は、
何より力強い存在であろう。
大統領選挙の期間中、
聞くに堪えないような
暴言を繰り返してきた。
国内の主要な新聞の
ほとんどが、反トランプに
回っていた。
ふたを開けてみたら、
敗北したのはメディアの
方である。

▼トランプ氏は、
ツイッターで相変わらずの
メディア批判を続けている。
外交など政策についても
一方的に発信して、
国際社会を翻弄している。
記者会見はまだ開かれて
いない

▼「私は国民と直接
 話したいんだ」。
昭和47年6月、
当時の佐藤栄作首相は、
引退を表明する記者会見で、
新聞への怒りを爆発させた。
記者が全員退席した後、
実現したのが
テレビカメラを前にした
独演会である。
記者に邪魔されずに、
政治家が本音をぶちまける。
泉下の元首相はこんな
世の中を望んでいたのか。
(産経抄 産経新聞12/26)
posted by (雑)学者 at 00:00| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする